おなじみ平松禎史さん

4月5日、次のようにツイートしました。

 

佐藤健志さん命名の「平松テーゼ」…現在の主な適合例。

「本当に米軍が撤退したら困る基地反対派」

「野党がマジメに政策論をしたら困る政府与党」

「政府がマジメに国民のための政治をしたら困る野党や反政府メディア」

「国民が憲法9条を改正せよと言い出したら困る親米保守」etc

 

元のツイートはこちら。

 

いや、まったくおっしゃる通りですが、

思えば深刻な話です。

 

これは「敵への心理的依存と思考停止をめぐる平松テーゼⒸ」が、

いっそう深刻な段階に達しつつすることを示しているからです。

 

ちょっと振り返ってみましょう。

「敵への心理的依存と思考停止をめぐる平松テーゼⒸ」

本来、以下のようなものでした。

 

1)自分(たち)に対立する何らかの勢力を

自明に悪いもの

自明に劣っているもの

自明に間違っているもの

自明に否定・排除すべきもの

として位置づけ、批判・攻撃の対象とする者は

実際には当の勢力が

自分たちの正しさを証明してくれるありがたい存在として

いつまでもなくならないことを望みはじめる。

 

2)この態度は明らかに矛盾しているので、

前項の状態に陥った者は、

矛盾に気づかないふりをしたうえ、指摘されたらキレてごまかすという

思考停止の振る舞いに走るしかなくなる。

 

3)よって、安易に敵を攻撃してばかりいると不可避的にバカになる。

 

何がポイントかと言うとですな。

本来の平松テーゼⒸにおいて

「敵」と位置づけられた勢力は

善悪をめぐる評価はともかく、

いくら批判・攻撃しても倒れないだけの

強さ・有能さ・しぶとさを持った存在

であるはずなのです。

そうでなければ(1)の状態が成立しません。

 

しかるに先に引用したツイートで

平松さんが挙げた事例を検討してみると、

驚くべきことが判明する。

 

善悪をめぐる評価はともかく、

いくら批判・攻撃しても倒れないだけの

強さ・有能さ・しぶとさを持った存在

と評価するに足るのは

最初の例に出てきた在日米軍だけなのです!

 

マジメに政策論をしない野党。

野党がその程度であるかぎりにおいて政権を担える与党。

 

マジメに国民のための政治をしない政府。

政府がその程度であるかぎりにおいて反体制の構えを取れるメディア。

 

自国の安全保障(および経世済民)をマジメに考えない国民。

国民がその程度であるかぎりにおいて保守を標榜、

ナショナリズムや愛国心を説いてみせる親米派。

 

ついでにこれも足しましょう。

国民がその程度であるかぎりにおいて平和主義を標榜、

非現実的な観念論を説いてみせる左翼・リベラル。

 

ここのどこに

いくら批判・攻撃しても倒れないだけの

強さ・有能さ・しぶとさ

があるのでしょうか?!?

 

どこにもありはしないじゃないですか。

 

すなわち右も左も

対立勢力(および一般国民)が不真面目でいい加減であることを

おのれの正しさのよりどころにしているのです。

 

とはいえ、そのように不真面目でいい加減な「敵」が

なぜ批判や攻撃に耐えて存続していられるのか?

 

むろん、批判・攻撃する方も不真面目でいい加減だからです

 

要するにわが国では

「平松テーゼⒸ」にどっぷりハマった保守と左翼・リベラルが

互いに不真面目でいい加減な状態に安住し続けられるよう

「不真面目でいい加減」の枠内で相手を批判・攻撃しつつ

まさにそのことで依存しあう

という末期的状況が見られると評さねばなりません。

 

そして「〈不真面目でいい加減〉の枠内における批判・攻撃」の

最も典型的な形こそ、

相手側のスキャンダル追及。

 

例の森友学園問題

与野党を超えたスキャンダル追及合戦と化しているのは

理由のないことではないのです。

 

森友学園問題については

緊迫・混迷の度を深める朝鮮半島情勢をはじめ、

もっと重要な問題がいくらでもあるのだから

いつまでもこだわっていないで幕を引け!

という主張も見られます。

 

この主張に一理ないとは言いません。

しかしですな。

この程度のスキャンダルひとつ

スマートに収拾できない政権

それらの問題にきちんと対処できると思いますか?

 

ついでに。

この程度のスキャンダルのほか

政権攻撃の材料をロクに見つけられない野党

それらの問題への対処に貢献できると思いますか?

 

そして。

自国の安全保障や経世済民をマジメに考えてこなかった国民

それらの問題にしっかり関心を持つと思いますか?

 

遺憾ながら日本政治は

スキャンダルで騒いでいるうちが華なのです。

 

だ・か・ら、

『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!

 

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ではでは♬(^_^)♬