イスラム国という厳しい現実を前にしては
すべてが貧弱な虚構でしかないのだ。
昨日の記事に登場したこのフレーズは、
1967年のフランス映画「ベトナムから遠く離れて」をめぐる
ジャン=リュック・ゴダールのコメントに基づいています。
これは映画関係者を中心とする
150名のカンパによってつくられた作品で
ゴダールほか6名の監督によるオムニバスの形式を取っていました。
ですからゴダールが全編を撮ったわけではないのですが、
同作品に参加したことは
彼にとって大きな意味を持っていたようです。
何せ、こう述べているのですから。
この作品に私はほんの小さな参加しかしていないが、
しかし、私は、
これまで映画に関して抱いていた
甘いアイディアをすべて捨象しなければ(=捨てなければ)ならなかった。
ベトナムという厳しい現実を前にしては
すべてが貧弱な虚構でしかないのだ。
つまりゴダールにとってベトナム戦争は、
たんにアジアで起こっている紛争ではなく、
「表現」とは何か?
という点を根本から問い直させるものだったのです。
しかるに最近、フランスでは
ムハンマドの風刺画を掲載した週刊紙にたいする
襲撃事件が起きたばかり。
のみならず
湯川さんと後藤さんの殺害を最初に予告したイスラム国の動画には、
「日本はイスラム国から8500キロ以上も離れたところにある」
というフレーズが登場しました。
まさに、イスラム国から遠く離れて。
ならばわれわれも、
テロをきっかけとして
表現について考え直すべきではないのか?
というわけで1月31日、
チャンネル桜の「闘論! 倒論! 討論!」に出演します。
テーマはずばり「表現の自由とテロ」。
パネリスト紹介などは、明日あらためて行いますが、
まずはスタジオの入り口を撮った画像を。
各パネリストについて、
「歓迎」と書かれた紙が貼られているのがお分かりでしょうか。
チャンネル桜の慣例です。
それから「愛国のパラドックス」の担当編集者が、
amazonのイデオロギー部門で同書が1位になったキャプチャ画像を送って下さいました。
あわせてご紹介します。
3 comments
アイラ says:
1月 30, 2015
イデオロギー部門での1位おめでとうございます。
後の3つが共産主義やマルクス主義ばかりというのが面白いですね。
フルート says:
1月 30, 2015
闘論!倒論!討論!楽しみです!
愛国のパラドックスも当然手に入れたのですが、試験で読めていません!
早く読みたいです・・。
討論がんばって下さい!!
tamaleah says:
1月 30, 2015
ISILが日本に対し正式な外交ルートを持たず、なおかつテロリスト扱いされている事を踏まえると、
彼らが日本政府に無視されずに話を聞いてもらうには人質という暴力を用いるしかないのだろう。
まともに話に取り合わないという態度に当該者への言論弾圧の側面がある事を思えば、
ISILからすると、これは日本政府のイスラムに対するテロルに映るのかもしれない。
とすれば、日本政府との直接交渉をやめたISILの態度は日本政府への意趣返しと見てよいのだろう。
何をして人をテロリストと呼ぶのか、呼ぶべきなのか。
なるほど「表現」とは何か、問い直させる。