本日も「野火」の話題です。

 

監督の塚本晋也さんと言えば

「鉄男」「六月の蛇」「ヴィタール」「悪夢探偵」などで知られる方。

海外の映画祭(とくにベネチア)の常連でもありますし、

役者としても活躍しています。

2002年には、毎日映画コンクール男優助演賞を受けているほど。

 

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強烈な作家性を持った俊英監督なのですが

ずっと「野火」を映画にしたいと思われていたとか。

 

しかしこの小説、

普通に映画化したら相当な大作になります。

 

日本兵や米兵として大勢のエキストラを動員し、

戦車や軍用トラックなども用意したうえで

フィリピン長期ロケを敢行しなければなりません。

 

もしハリウッドでやったら、5000万ドル〜6000万ドルぐらいは軽くかかってしまうでしょう。

1ドル=120円として、60億円から72億円というところ。

 

というわけで塚本さん、

「野火」に取りかかるのを延び延びにしていました。

 

ご本人がユーモアまじりに語られたところによると、

大監督になって、お金持ちになったらやろうと思っていた

とのこと。

 

しかし、かの黒澤明監督すら

製作費の調達に苦労したというのが日本映画の現実です。

フランシス・コッポラジョージ・ルーカス、

あるいはスティーブン・スピルバーグといった名前が

「影武者」や「夢」にからんでくるのは偶然ではありません。

 

まして「野火」は、いわゆるエンターテインメントの枠内に収まる作品にはなりえない。

かなり壮絶、かつ凄惨な話です。

 

資金調達が進まない中、

塚本さんは戦争体験者へのインタビューを始めました。

作品をつくる準備として、

とりあえず話だけでも聞いておかねばと思われたそうです。

 

しかし、それでも資金は集まらない。

 

ついに塚本さん、

低予算でもやるんだ!!

と決意します。

 

 今、作らなければ、もうこの先、作るチャンスはないかも知れない。

また作るのは今しかない。

そう思われたとか。

 

お父様の遺産を製作費に当て、

監督・脚本・編集・撮影・製作の5役を兼任。

さらには田村役で主演まですることに!

 

まさに気骨でつくりあげた渾身の一作です。

 

その執念が実り、

映画には予算面での制約を吹き飛ばすパワーが宿りました。

というわけで、さらに画像をどうぞ。

 

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 ⓒSHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

 

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 ⓒSHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

 

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 ⓒSHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

 

「新日本経済新聞」でも書きましたが

この映画については

低予算でつくらねばならなかったことが

かえってプラスに作用したと思います。

 

塚本晋也監督作品「野火」、

明後日、7月25日より公開です。

公式サイトはこちらをどうぞ。

 

ではでは♬(^_^)♬

 

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 試写会場でツーショットを撮らせていただきました。